多くのゴルファーが目指すのは飛距離を伸ばすことです。一般的には、バックスイング時にシャフトが地面と平行になるくらいが適切なスイングの大きさとされています。しかし、この目標を追い求めるあまりオーバースイングになり、結果的には逆効果となる場合も少なくありません。バックスイングをあえて小さくすることで、ショットの質が向上し、多くのプレイヤーにとって良い結果をもたらす可能性があります。
オーバースイングの課題と対策
バックスイングをただ短くするだけでは、スイングの改善に必ずしもつながらないことが多いです。バックスイングを短縮しようとすると、多くのゴルファーはグリップに過度な力を加え、スイングのテンポが速くなることがあります。その結果、肩の回転が不十分になり、期待したような良い成果が得られないこともあります。
また、オーバースイングが常に問題を引き起こすわけではなく、実際にオーバースイングで良い成績を上げている選手もいます。しかし、オーバースイングをするゴルファーの多くは筋力に頼る傾向があり、そのためスイングの再現性や正確さが低下します。これは正確にボールの芯を捉えるショットの頻度を減少させ、スコアメイキングにおいて非効率なゴルフをすることにつながります。このような問題を持つ場合、バックスイングを短くすることを考えるのも一つの解決策です。
素振りだけはプロのような「素振りシングル」
多くの人が「素振りはプロみたい」とよく言いますが、実際にボールを打つ時には、その美しい素振りのフォームを再現できず、バランスやタイミングが乱れてしまうことがよくあります。これは、ボールを打つ瞬間に「ダフらずに、より遠くへ飛ばそう、曲げないように」といったプレッシャーが影響しているからです。特に、バックスイングを意図的に短くしようとした場合、力が入りすぎてスイングのリズムが速くなり、肩の回転も不足しがちです。これらの問題への対処が、大きな課題となっています。素振りと実際のスイングに大きな差がある人は、高いハードルを越えなくてはなりませんが、それを克服できればフォームが大きく改善し、ショットの成功率も向上する可能性が高まります。
スイングを小さくしてゆっくりと
力を入れすぎず、腕を小さくゆっくり振る練習をおすすめします。このトレーニングの第一ステップとして、ピッチングウェッジを使用し、通常のフルショットの約30%の範囲で、できるだけゆっくり腕を振りながらボールを打ってみましょう。ゆっくり振ることで振り幅が自然と小さくなりますが、それによってボールは遠くに飛びません。例えば、50ヤード飛ばしたとします。そのままの振り方で、70ヤードまで飛ばせるか試してみてください。
最初は無理に感じるかもしれませんが、体の回転を速く強くすれば、70ヤードの飛距離を比較的容易に実現できるでしょう。腕の振りは少し速くなる可能性がありますが、80ヤード程度は飛ばせると感じるかもしれません。ここで重要なのは、体の回転を強化するためにどのような変更を加えたかを確認することです。肩の回転や下半身の動きが初めの50ヤード時とどう変わったか、その他の変化点も探り、違いを整理してみましょう。
腕の振り幅を制限すると、通常その他の動作も無意識のうちに制限されがちです。つまり、体の回転やフットワーク、ヘッドスピードもフルスイングの30%に落ち込むため、飛距離が大幅に低下します。しかし、腕の振り幅を30%に抑えつつ、体の回転やフットワークを60%や80%に保つことができれば、ヘッドスピードもそれに応じて速くなります。ただし、腕の振り幅が30%のままで体の動きを100%にするのは難しく、不自然に感じるでしょう。
次に挑戦してほしいのは、腕の振り幅を50%から60%へと増やし、振るスピードも初めの練習時より少し速めることです。このとき、100%の強い体の回転を意識しながらボールを打つことが大切です。重要なのは、体がどれだけ回転するか、回転軸がしっかりしているか、そして下半身の動きに注意を払うことです。腕と肩の回転が50%から60%に達したら、腕の振り幅をその場で止め、肩の回転をさらに90%から100%まで高めてスイングしてみましょう。
この方法では、腕を動かさなくても肩が続けて回転するため、手の位置はより高い所まで振り上がり、インサイドからのスイングが容易になります。実際には、腕の振りを50%で止める意識を持っていても、肩の追加の回転によって、腕の振り幅が60%や70%に達することがあります。腕の振り幅を50%から60%に保つためには、腕を40%で止める意識が求められます。最終的に、スイングのトップから切り返しを行う際には、腕の振りをゆっくりと控えめにし、下半身の力を最大限に活かして体の回転速度を上げる効果を確かめてみてください。
肩の回転を90%から100%に活用し、下半身をフルに使って体の回転速度を高めると、腕の振り幅が50%から60%であっても、従来の全力のスイングよりもボールを遠くに飛ばすことが可能になります。50%から60%の腕の振り幅と100%の体の回転との組み合わせが難しい場合、腕の振り幅を70%にして体の回転を100%にすることで、バランスの取れた自然なスイングが実現できると感じる人もいるでしょう。いずれにしても、腕の振り幅を抑えることで、飛距離だけでなくショットの安定性や再現性が向上することが期待されます。
通常、腕の振りに頼ってボールを飛ばそうとすると、体の回転や下半身の動きが疎かになりがちです。しかし、腕の振り幅を意図的に抑えることで、普段使わない体の動きを活用することが必要になり、その結果、体の回転や下半身の動きが改善されることになります。さらに、下半身の動きを切り返しの少し前から始めることで、腕の振り幅を自然に抑えつつ、体の回転速度をスムーズに上げることができます。通常は肩の回転が止まってからダウンスイングに移る時も、肩の回転が止まるタイミングで下半身を動かし始めるとより効果的です。腕の振り幅を意図的に小さくすることで、実際の減少幅はそれほど大きくないかもしれませんが、この方法でスイングの質が向上し、飛距離が犠牲になることなく改善されることを感じていただきたいです。