かつて、ゴルフ界の偉人であるボビー・ジョーンズ(Bobby Jones)は、「ゴルフは耳から耳までの5インチのコースでプレイされるゲームです」と述べました。つまり、プレーには頭の中で考えることが重要であり、それをコントロールできなければ良いプレーはできないと言っていたのです。ゴルフにおいて、考えが足りないよりも考えすぎてしまい失敗することの方が多いという意見に異論を唱える人はほとんどいないでしょう。
ボビー・ジョーンズの名言の解釈
ジョーンズは、「最も考えるべきことが少ない時に最高のスイングができる」と述べています。この解釈は微妙ですが、無心の状態であれば最も優れたスイングができると解釈することもできるでしょう。それとも、「nothing(何も考えずに)」ではなく「fewest things(最も少ないことを考えて)」と言っているので、一つのことだけを考えてスイングすると解釈すれば良いのでしょうか。または、無心になれなければ一つのこと、それも無理であれば最小限のことを考えるという意味にも取れるでしょう。どの解釈にせよ、スイング中に色々なことを考えることは避け、ショットに集中することが重要なのだと思われます。
ただし、無心になることや集中することを言われても、実際にどのような意識で何をすれば良いのか、理解しづらいと感じる人は少なくありません。毎回一生懸命になって無我夢中でクラブを振ることはできないからです。ジョーンズは他にも同様のことを言っています。「最後の瞬間にわずかなヤードを加えようとする努力が、多くのショットを台無しにする」とも述べています。つまり、最後にもう少し飛ばそうとする試みは、逆にショットを台無しにしてしまうことが多いのです。
スイング時の思考パターン
自分がスイングする際の思考パターンについてじっくり考えたことがあるでしょうか。ほとんどの人がよく考えるのは、(1) ミスショットのこと、(2) 体の動かし方、(3) 距離や弾道のコントロールなどですね。ミスショットのこととは、ミスヒットやトップをしないように気をつけたり、池やOBにボールを打たないようにすることを考えてしまうことです。また、体の動かし方とは、頭や体の軸を動かさないようにしたり、肩をしっかり回そうとしたり、クラブの引き方やスイングプレーンについて考えながらスイングすることです。そして、距離や弾道のコントロールは、ショートゲームで考えなければならないことですね。例えば、50ヤードのショットのバックスイングの大きさを考えながらショットをするといった具体的な場面もあるでしょう。
私たちはスイングをするときに、さまざまなことを考える傾向がありますが、実際にはそれに気づいていないことが普通であり、毎回無心でボールを打つなどは不可能ですよね。しかし、どうしたら最も少ないことを実行できるかを考え、それを試してみることは意味のあることです。実際には、無心というのは無理があるように思えるので、一つのことだけを考えるようにすることが最も実行可能で有効な方法と言えます。そして、何か一つのことを考えるのであれば、ショットの成功率を最も高くする方法を考えるべきです。人によって有効な方法は異なるかもしれませんが、体の動かし方について一つだけ決めて、常にそれに集中するスタイルをプレーに取り入れることは有効です。
カーリー・ウェブやマイク・ウィアーは、プリショット・ルーティーンに大きなワッグルやテイクバックのリハーサルのようなアクションを取り入れています。彼らはスイングの際にクラブヘッドが通るべきポイントを決め、そのポイントに集中する手法を使っています。このスイングの方法は、他のことを考えずに集中することが重要だという考え方に基づいています。サム・スニードは「あらゆる障害の中で、恐怖心が最悪である。」と述べています。つまり、失敗を心配することは最悪の結果を引き起こすということです。失敗のイメージにとらわれがちな人は、その思考パターンを忘れるために努力し、ただひたすらショットに集中することが良いでしょう。ゴルフでは、失敗やネガティブなことを考えずに、行動に集中することが重要です。